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しみ抜きではないけれど…ネクタイの生地の目のズレ(目寄れ)を直してみた

ラブリーチェーンしみ抜きブログへようこそ!管理者の讃岐です。

今日はしみ抜きではないのですが…クリーニング受付などでキズ扱いされることもある生地の目のズレ。これを目寄れと呼ぶそうです。ワタシも今回ブログを書くに当たってネットで調べて初めて知りました。

コチラのネクタイ、シールの位置がちょい離れているので分かりづらいかも知れませんが、シール矢印の先端からシール1個分離れたところに環状の色の濃い部分があるのがわかりますでしょうか?

これが目寄れ。均等であるべき糸の間隔が、何かの拍子にズレてしまい、糸の密度が高くなったところとスカスカになったところに分かれてしまった状態です。そうなると、糸が密集した部分は色が濃くなり、パッと見縞状の濃淡が出来たり、生地が波打ったようになることもあります。

目寄れは、生地が薄かったり平滑だったりする生地で多く発生します。理由は縦糸と横糸の摩擦が小さく、糸が横にズレやすいから。

生地の糸はこんなふうに繰り返しS字を描く様に縦糸と横糸が交差しています。実際には織り方は何種類かあり、図のように糸一本ごとに上下を繰り返すとは限りませんが。

でも、この交差部分でのS字のカーブのきつさと、繊維自体の摩擦力が糸ズレに深く関わります。糸が細ければS字のカーブが小さくなり直線的になるので、糸が横ズレしやすくなります。また、紡績(短い繊維を紡いで糸状にすること)した繊維の方が、短い繊維を捩った効果などにより糸の表面が凹凸になり摩擦が強くなります。逆に言うと、人工的に作った合成繊維は紡ぐことなく長ーい繊維を作れますし、表面はテュルンテュルン。摩擦が小さくなり糸がズレやすい条件が整っています。あとは、糸と糸の間が詰まってない、緩い織りになっていると、それだけ「動ける余裕」があるので糸がズレやすくなりますね。

これら条件を合わせると、ナイロン・ポリエステルなどの合成繊維で、かつ非常に薄い生地や高密度に織られていない生地は目寄れが起こりやすいと言えるでしょう。具体的にはダウンジャンバー・ちょっと透け気味の薄手ブラウスとか。部位としては肩〜ワキ周辺などは繰り返し擦れたりバッグの肩掛け・脇にに挟むなどの持ち運びにより、生地に余計な力がかかりやすく、目寄れが起こりやすいので要注意ですよ〜。

そして、今回のネクタイも…シルクではなくポリエステルで、糸間距離が大きめの緩い織り方。そりゃ目寄れを起こしますよね。

簡単なものなら、しみ抜きのガンをあえて目寄れの元になり易い【斜め打ち】で意図的に糸が元あった方に打ってやることで、糸は本来居るべきだった位置に戻ります。目のズレ方がわからないと逆に悪化させる可能性もありますが。

こんな風に。

あとは、針でツンツンして少しずつ糸の位置を戻してやる方法もありますが、生地が傷つきやすく、ピンポイントの作業を延々繰り返すので作業者に根気が必要な辛い方法です。

でも、クリーニング屋さんはこんなことも出来るということ、覚えておいてくださいね。

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