先日に続き、家庭洗濯でのトラブル… なんだか家庭洗濯をディスってばかりのようで少々気が引けるのですが、今日はお客様自身でも出来るメンテ方法をご紹介いたしますので、お付き合いください。
さて、今回のお客様のご要望は、 『家でダウンを洗ったらふっくら感が少なくなったので、直してほしい』とのことでした。 はい、確かに少々ボリューム不足かな? 組成は…ダウン80%フェザー20%。一安心。 というのは、実は最近出回っているダウン系ジャンバーの中には、ダウンとポリエステルが混ぜてあるものがあり、これは正直最悪…。ダウンジャンバーに似せたボリュームたっぷりのポリエステル綿は、洗ってしまうと大体の場合綿が小さく丸っこく寄り集まってしまうんですね。更にダウンの混綿となると、新品の時にはダウンの力で膨らんでいたのが、洗うことによりポリエステル綿の中にダウンが絡み取られてしまって、綿は痩せてしまいます。ポリエステル綿に捕食されてしまったダウンの救出はもはや不可能…。そんな理由でポリエステル・ダウン混綿のジャンバーは、購入をお勧めしません!(断言)
ちょっと話がそれてしまいましたが、ダウン・フェザーのみの綿であれば救済出来る可能性が高いので一安心というわけです。
さて、ここからがお客様自身でもできるダウンの直し方。コインランドリーの乾燥機でダウンを乾かしましょう(笑) でも、ただ乾燥機にかけただけではちょっと力不足。乾燥機にテニスの硬球・又は野球の軟球・ソフトボールなどを2~3個一緒に入れてガランゴロンと回します。但しテニスの硬球は新品の場合毛が抜けますし、野球の軟球やソフトボールは、新品の時ゴム臭くなります。使い古しをキレイに洗って使用するのが手っ取り早いかもしれません。 でもなぜこんなものを一緒に入れるのか…実は水洗いで萎んでしまったダウンをもう一度膨らませるには、熱と共に【叩きのチカラ】が必要です。
家庭での乾燥はこの【叩き】がどうしても不足して、ダウンの羽根が開ききらないのです。コインランドリーの乾燥機は、それだけでも洋服を上にはね上げて落とすという叩き効果がある程度ありますが、この叩き効果を倍増させるアイテムが【ボール】なのです。
弊社でボールを使用した乾燥処理を行った結果、こんなにボリュームが復活しました。まるで腹筋が割れているかのような立体感。 これで来冬も気持ちよく着られますね。
今回の例と同様のダウン痩せトラブルに見舞われた方は、是非チャレンジ・若しくはクリーニング店にご相談くださいね。
ここからは私見ですが…家庭でのダウン洗濯を指南するホームページなどもよく見かけますが、プロの目から見ると『簡単にダウンは洗える!』などと安易にダウンの家庭洗濯を勧めるのは如何なものかと思います。それはプロである私たちの仕事がなくなる…からではなく、意外に面倒やキケンを伴うからであります。 まず、旧来の『縦型洗濯機』の場合、脱水時の重量片寄りで洗濯機が転倒する可能性があります。また、ダウンの生乾きにより、異臭を発生することもあります。そして今回の例のように痩せてしまったり…。 ちなみに、東京都クリーニング生活衛生同業組合のホームページでもこんな見解を出しています。
http://www.tokyo929.or.jp/column/washing_cleaning/post_73.php
ダウンの家庭洗濯を勧めるホームページをいくつか見てみましたが、あまり簡単そうには見えない…。